彦根を歩くと、城下町という言葉が急に身近になる。
彦根城のまわりは道の幅や建物の並びが落ち着いていて、急いで観光するより、少しずつ視界に入れていくほうが楽しい。
天守を見上げる前に、堀のそばでぼんやりしてしまった。
昼ごはんは近江牛にするか、もう少し軽いものにするかでしばらく迷った。
こういうとき、旅行の自分は強気で、普段の自分は財布を心配する。
結局、少しだけ贅沢な定食にして、食べ終わったあとに正解だったことにした。
正解かどうかは、だいたい食後の気分で決まる。
夢京橋キャッスルロードのあたりは、店の看板を眺めているだけでも楽しい。
和菓子や土産物の店が並んでいて、何か買わないといけない気持ちになる。
義務ではないのに、旅先の小さな袋はなぜあんなに魅力があるのか分からない。
軽そうに見えるものほど、帰り道で存在感を出してくる。
ひこにゃんの案内を見かけると、街全体が少し柔らかくなる。
歴史ある場所なのに、ゆるいかわいさが普通に共存しているのがおもしろい。
真面目な石垣と、のんびりしたキャラクターが同じ視界に入ると、こちらも肩の力が抜ける。
城のまわりを歩いたあとに堀を眺めると、水面の静かさで少しだけ時間がゆっくりになる。
観光パンフレットに載っている場所を追いかけるのも楽しいけれど、何でもない角を曲がった先の古い家並みも印象に残った。
和菓子の店先で立ち止まって、今食べる分と持ち帰る分を分けて考えている自分が少しおかしかった。
結局どちらも欲しくなるから、分けて考えた意味はあまりない。
それでも迷っている時間まで楽しかったので、旅先の悩みとしてはかなり平和だった。
帰ってから荷物をほどくと、土産より先に部屋の置き場所問題が始まった。
棚の上には、もう使っていないヘルメットや小物があって、いつか整理すると言いながらそのままになっている。
バイク本体も、乗る頻度が落ちてから判断を先送りしていた。
売ると決める前に、まず今の目安だけ知りたい。
実際の金額は状態を見てもらわないと決まらないけれど、オンラインで大まかな流れを確認できるなら気分的に入りやすい。
保管を続けるか手放すかを考える材料として、バイク買取を見ておくのは無駄ではなさそうだ。
彦根の街も、歩いてみると地図よりゆっくりした場所だった。
家の中の整理も、頭の中で大きく考えるより、まずひとつだけ確認するほうが進みやすい。
次の休みに、棚の上から少しずつ片づけようと思った。