危うくポルシェのオーナーになるかもしれないところだった
私は、日本自動車輸入組合(JAIA)が大磯プリンスホテルで開催している輸入車市場会へ行きたいと常々思ってた。世界のブランド高級外車がずらりと揃う夢のようなイベントだ。
しかし、招待客は、メディア関係者か自動車ジャーナリストと呼ばれている人に限られている。
単なる憧れだけで、羨望の眼差しで眺めてるだけの、単なるハゲなるものには、敷居が高いイベントだ。
高級輸入車のオーナーとなって有益な情報を発進する身分でもなし、そんなお金もないのだから、そういったセレブなイベントに声がかかることもないわけだ。
しかし、一度も高級輸入車に乗ることができず、指をくわえているだけの人生なんてさみしいじゃないか。
そんな壁を打ち破るため、思い切ってポルシェ911カレラをレンタルしてみた。
5速ATの右ハンドルで、初心者の私でも乗りやすいマシンをお店の人がすすめてくれ、首都高をポルシェでドライブしたんだ、この私が。
目指すは筑波サーキット。高揚感をかみしめながら到着した。
ポルシェ911の体験走行はまさに底なしの魅力だった。
力強い挙動・異次元的な加速・シャープなハンドリング・甘美なエギゾーストノート……。
そんな、911の魔性力に浸ればもう後戻りはできなかった。
その日からもう頭の中はポルシェのオーナーになることだけ。
「2千万円ぐらいなら、ローンで支払っていけるだろ」と高級車の中古車巡りを始めたところだった。
品質のいいポルシェが集まると評判を聞いていたお店の入荷情報も毎日のようにチェックしていた。
ようやくスゲーやつが現れたので、今度お店に足を運ぼうと思っていた矢先、
新型コロナウィルス感染拡大防止で休業中となってしまった。
しかし、冷静に考えたら2千万は、今の会社の給料じゃローン通らないよな。
ポルシェのオーナーになるために方々で借金するところだったよ。
まずは一流商社か、一流企業に就職するところから始めないといけないな。
ああ、ポルシェの魔力は本当に恐ろしい。